田舎役場職員の遠吠え

Almost anything you do will be insignificant, but you must do it.

家屋評価の実態

 

固定資産税の家屋評価入門

固定資産税の家屋評価入門

 

 

住宅関連でもうひとつ。

固定資産税係に配属されていたことがありました。

固定資産というのは、土地と家屋のことで、家屋の場合は賦課(課税)するために、家屋評価といって、新築の家屋を訪問し、資材に何が使われているとか、面積や寸法等をチェックしに行きます。

もちろん、住宅建築の際に提出された建築確認申請書の設計図には記載されてはいるんですが、本当にそのとおりに建築されているのか否か、寸法や暖房器具なんかも実際に確認した後、固定資産税の仕組みを説明することが、当時の家屋評価のルーティンでした。

その頃は、ちょうど住宅建築ラッシュだったこともあって、毎日毎日、昼間は十数件の住宅を評価しに行き、夜は評価計算行うという結構ハードな日々を送っていました。

やはり何百件も住宅を見て、いろんな家主さんとお話をしていると、「いかにも怪しいぞ」という住宅や、嘘をつく人の仕草も見抜けるようになってきます。

大抵の場合は、設計図には記載されていない「隠し部屋」があることが多いんですが、実際にその部屋が課税対象に入ったからといって、それほど税額が大きく変わるほどのものではなく、それなら、正々堂々としている方が、精神的にも良いとは思うのが個人の見解です。

ただ、それも場合によりけりで、たとえば、地下に隠し部屋があったりすると、地下室は鉄筋コンクリートで四方を囲まれているため、木造よりも課税単価は高くなり、それが総地下ともなると結構な課税額になったりします。

私が経験した中で、総地下の隠し部屋あった住宅は、なんと役場職員の住宅でした。

基礎部分に通気口がないので、ちょっと珍しいかな~とは思いつつも、まぁ、そんな住宅もないことはないので、あまり気にせず家の中を歩いていると、台所に敷かれていた絨毯の素材や柄、大きさやなんかが、なんとな~く違和感を醸し出していました。

で、何気なく足の裏を使って、絨毯越しに床の凹凸をチェックしてみると、案の定、ありました。

「いい絨毯ですね~」と言って、しゃがんで絨毯の端っこを掴もうとすると、あわてて絨毯の上にやって来て、この絨毯がいかに高価なものであるかの説明が始まりました。

だからお前なんかが容易に触るんじゃないと言わんばかり。

「へ~、そんな高級な絨毯を台所に敷いてもいいんですか~」と言うと、あからさまに表情がこわばる役場職員。ちなみに当時の部長さんでした。

「ちょっと捲ってもいいですか~」というと、「ダメだ!」と急変してキレ気味に。

「どうしてダメなんですか~」

「お前、何の権限があってそうゆうこと言ってるんだ!いい加減にしろよ!」

といったやり取りがあり、「役場職員なんだから、後で隠し部屋が発覚したりしたら、問題になりますよ~」と言うと、とうとう大噴火してしまいました。

「お前、誰に向かって喋ってるんだ!今すぐ課長を呼んで来い!覚悟しとけよ!」と言われてしまいました。

しつこいようですが、相手は職場でいつも顔を合わせる、しかも温厚な性格で有名な部長さんです。

結局、そのままの勢いで腕を掴まれて追い出され、地下室を見せてもらうことはできませんでした。

役場に戻って上司に報告したら、課長と代わりの職員が行くことになり、結局、設計図どおりでOKとのこと。案の定、台所の絨毯の下はチェックしなかったそうです。

まぁ、相手は職場の部長さんだから何も逆らえないんでしょう。

参考までに、家屋評価には強制権がないので、出ていけと言われれば、出て行かざるをえません。評価させてもらうためには、ひたすら根気よく説得するしかないんです。

それから数年後、その住宅を施工した業者と世間話をする機会があり、○○部長の家は総地下になっていて、オーディオルームもあるし、この間、カラオケ大会で盛り上がったんだぜ~、という話を聞いてしまいました。

やはり、地縁血縁で固まった村八分が当たり前の組織では、だれも本当のことを言えないまま、こうして闇に葬られていくんでしょうね。

この一件以来、役場での私の肩書には、「協調性のない生意気なよそ者」が加わることになり、翌年、税務課から異動になりました。